咬唇癖[こうしんへき]について
咬唇癖とは
唇を咬もうとする癖で、通常は上顎乳前歯の舌側に下唇を咬みこみながら吸い込もうとします。
逆に下顎乳前歯で上唇を咬もうとすることもありますが、下唇を咬む方が多く見られます。
奥歯が生えても咬唇癖がなおらないと、上顎乳前歯部の唇側傾斜と下顎乳前歯部の舌側傾斜がおこり、上顎前突の原因になることがあります。
また、かみ合わせが深くなり、下の前歯が上の前歯の歯肉にあたり、傷がついてしまうこともあります。
上唇を咬む癖の場合には、反対咬合(下顎が前にあり、前歯が反対になっているかみ合わせ。いわゆる受け口。)の原因になることがあります。
上顎前突とは
いわゆる出っ歯のこと。唇が閉じにくく、口呼吸になりやすかったり、安静時の舌の位置がよくない場合には、頭位がずれることで猫背になりやすいなどの問題もあります。
咬唇癖と上顎前突
咬唇癖の発生率は約2%~5%程度といわれており、それほど発生率の高い癖ではありません。
しかし、歯科矯正治療が必要になるような上顎前突の患者さんは、下唇を咬む癖が多く見られます。
もともと上顎前突がある子供は自然と前歯の間に下唇が入り込みやすいので咬唇癖になりやすいという要素もあります。
また、咬唇癖によって上下の前歯が傾くと、その間に下唇が入り込みやすく、さらに唇を咬む癖が強くなります。
咬唇癖の原因
咬唇癖が起こる原因は、吸指癖(指しゃぶりをする癖)と同様だと考えられています。
つまり、吸てつ反射(赤ちゃんが唇に触れたものを吸おうとする本能的な行為)や、精神的な緊張、欲求不満などです。
下唇を咬むということによって、不安が解消されたりリラックスしたりするという働きがあり、こちらも指しゃぶりと同様です。
指しゃぶりから咬唇癖に移行するという説もありますが、咬唇癖がある子供は赤ちゃんの時にあまり指しゃぶりをしていないという調査結果もあり、意見がわかれるところです。
咬唇癖の指導と治療
4歳くらいになるまでは、「出っ歯になるからやめなさい」と伝えてやめさせることは難しいでしょう。
咬唇癖をやめさせられることがかえって欲求不満やストレスになって咬唇癖が悪化してしまったり、吸指癖などの他の癖に移行するだけの結果になってしまうこともあります。
おしゃべりや遊びなどでなるべく咬唇癖が出ないように気分をかえてあげたり、過度にストレスを与えない範囲でのコミュニケーションを図ることが重要です。
4歳、5歳になって本人も咬唇癖をやめたいと思えるようになれば、装置を使っての矯正治療やリップトレーニングと言われる口腔筋機能訓練によって咬唇癖をなおしていきます。
幼児期、学童期を通して下唇を咬む癖が続いてしまうと、ひどい上顎前突になってしまうこともありますので、この時期においてはしっかり治療をすることが必要です。
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