2015年12月11日

小児の口腔粘膜における疾患[しょうにのこうくうねんまくにおけるしっかん]について

小児の口腔粘膜における代表的な疾患には、以下のようなものがあります。

ヘルペス性歯肉口内炎(疱疹性歯肉口内炎)(へるぺすせいしにくこうないえん/ほうしんせいしにくこうないえん)

2歳から5歳くらいの小児に多く発症する口内炎で、単純ヘルペスウイルスの感染によるものです。
潜伏期間は約1週間で、飛沫感染(唾液などの飛び散った細かいしずくなどにより起こる病気の感染)します。
発熱、歯肉の浮腫性炎症がおき、歯肉、口唇、舌、頬粘膜、口蓋粘膜などに特徴的な水疱が出現します。
痛みが激しく、水分や食物の摂取ができなくなることもあり、場合によっては点滴も含めて水分や栄養分の補給につとめる必要があります。
また、体力が低下するため、抗菌薬を投与し、感染の防止につとめます。
臨床症状の消失までは約2週間ほどで、潰瘍は瘢痕を残さずに治ります。
ただし、ごくまれにですが重篤な合併症として無菌性髄膜炎や脳症を引き起こすことがあり、注意が必要です。

アフタ性口内炎(あふたせいこうないえん)

口腔粘膜に直径1ミリから10ミリ程度の孤立性の小潰瘍を発生させます。
アレルギーやビタミン欠乏、ストレス、免疫力の低下などが原因という説がありますが、原因は不明です。
疼痛がありますが、約2週間ほどでおさまります。
処置としては、口腔内の洗浄、ステロイド軟膏塗布などの対処療法が行われます。

コプリック斑(こぷりっくはん)

麻疹ウイルスの感染症で、いわゆる「はしか」の症状として全身に発疹が現れる2~4日ほど前に、初期症状として臼歯部頬粘膜に、周囲が赤くなった白色または灰白色の小さな斑点が出現します。
この斑点をコプリック斑と呼び、麻疹の診断に重要となります。
コプリック斑の認められる小児については、他の小児の感染を防ぐために治癒までは歯科医院への来院をしないよう指導し、あわせて小児科への受診を指導します。

水疱瘡(水痘、帯状疱疹)(みずぼうそう/すいとう/たいじょうほうしん)

水痘・帯状疱疹ウイルスによる感染症において、初感染時の症状が水痘であり、いわゆる水疱瘡(みずぼうそう)と呼ばれるものです。
また、初感染の治癒後、神経節などに潜伏したウイルスが再活性化し、出現する症状が帯状疱疹です。
体幹を中心に発疹が発生し、小水疱から痂皮形成(かさぶた)へと変化します。
すべての発疹が痂皮化するまで感染力があるため、治癒までは歯科医院への来院をしないよう指導します。

エンテロウイルス感染症(えんてろういるすかんせんしょう)

エンテロウイルスはいわゆる夏風邪の病原ウイルスです。
発熱などの一般的な風邪症状に加えて、口腔にさまざまな発疹性疾患を引き起こすという特徴があります。
経過は一般的に良好と言われており、治療としては対処療法を行うことになります。

手足口病(てあしくちびょう)

コクサッキーA型あるいはエンテロ71型ウイルスによるものです。
手のひら、足の裏、口腔粘膜に水疱性発疹が現れるという特徴があります。

ヘルパンギーナ(へるぱんぎーな)

乳幼児期において春から夏の季節に流行する傾向があります。
多くはコクサッキーA型ウイルスによるものです。
発熱や咽頭痛などの症状があり、軟口蓋部に特徴的な水疱ができます。

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