歯科医院の標榜診療科と歯科衛生士についてまとめ

歯科衛生士はどんな診療科を標榜している歯科医院で働いている?

ご存知の通り、ほとんどの歯科衛生士は歯科診療所(歯科医院)で勤務しています。

歯科医院である以上は、当然歯科の診療をおこなっているわけですが、歯科医院などの医療機関においては、標榜できる診療科目が法律で決まっていることをご存知でしょうか?

例えば、同じ歯科医院であっても「矯正歯科」を標榜していない歯科医院では矯正歯科の診療をすることはありません。
矯正歯科を学びたい歯科衛生士さんであれば矯正歯科を標榜していない歯科医院の求人は選択肢から外すべきでしょう。

このように、歯科衛生士にとっても歯科医院の標榜診療科を知ることはとても重要です。

歯科医院における標榜診療科についてまとめました。

「歯科医院の標榜診療科と歯科衛生士についてまとめ」の目次

そもそも標榜診療科って何?
歯科ではどのような標榜診療科があるの?
どんな科目を標榜している歯科医院が多い?
歯科衛生士との関係性
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標榜診療科とは

さまざまな診療科目

【標榜する診療科目は医療機関によりさまざま】

標榜診療科目とは、その名の通り、「標榜している」、「診療科」のことです。
それぞれの言葉の意味を確認しましょう。

〇〇歯科医院の標榜科目はxx科、であったり、〇〇歯科医院はxx科を標榜している、といった使い方をします。

標榜科、という呼び方をすることもあります。

標榜とは

標榜とは、主義や主張などを掲げたり、外部に向けて示したりすることを言います。

この場合では、歯科医院などの医療機関が「この歯科医院ではこの科目を診療しています」と第三者に示すことを言います。

なお、日本では医師や歯科医師は免許を取得していれば、専門性や経験などを問わず、診療科目を免許の範囲において自由に選び、外部に広告することができます(自由標榜性)。

ですので、標榜しているかどうかは院長の実績や実際に患者を診ているかも関係なく標榜されることがあります。
(極論ですが、小児歯科の経験が全くなく、しかも患者が全く来なかったとしても、歯科医院は小児歯科を標榜することができます)

診療科とは

歯科医院や病院などの医療機関において診療を行っている分野のことを言います。

日本では、医療について外部に広告できる診療科の科目(標榜できる診療科)が医療法によって決められているため、それ以外の診療科名を標榜することはできません。

歯科医療における標榜診療科

歯科の標榜科目

【歯科関係の標榜科目にはどんなものがある?】

標榜可能な診療科名

歯科の領域においては、下記の4つの診療科名について標榜することが認められています。

  • 歯科
  • 小児歯科
  • 矯正歯科
  • 歯科口腔外科

標榜できない診療科名

なお、インプラント科、審美歯科などは厚生労働省の通知によって名指しで認められないとされています。

ちなみに、ホームページ上にインプラント治療を行っていることの記載があったり、歯科医院名に審美という文字が入っていても広告に該当しませんので問題ありません。

標榜診療科別の施設数推移

歯科医院数推移

一般的な歯科を標榜している歯科医院が圧倒的に多く、ほとんどの歯科医院において標榜されています。

続いて小児歯科が歯科の約60%、矯正歯科と歯科口腔外科は小児歯科の約50%といったところでしょうか。

小児歯科も半数以上の歯科医院で標榜されていることとなります。

また、最も少ない歯科口腔外科についても、2万軒以上の歯科医院において標榜されていますので、すべての診療科を標榜しているという歯科医院も多いと考えられます。

出典:厚生労働省(平成 26 年(2014)医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況 )

平成20年 23年 26年
歯科 66,437 68,156 68,592
矯正歯科 21,231 21,026 23,511
小児歯科 38,682 38,582 42,627
歯科口腔外科 19,770 20,371 23,808

標榜数別の歯科医院数

歯科医院における標榜率

歯科医院全体のうち、各科目が標榜されている割合は下記のとおりです。

平成20年 23年 26年
歯科 98.0% 100.0% 100.0%
矯正歯科 31.3% 30.8% 34.3%
小児歯科 57.1% 56.6% 62.1%
歯科口腔外科 29.2% 29.9% 34.7%

その他の施設数推移※参考

病院数推移

歯科を標榜している病院の数は下記のように推移しています。

平成20年 23年 26年
歯科 1,106 1,083 1,106
矯正歯科 131 137 142
小児歯科 124 137 153
歯科口腔外科 802 836 912

最も多く標榜されているのは歯科医院同様、一般の歯科ですが、歯科口腔外科の標榜がかなり多いのが特徴的です。

しかし、全体感としてはやはり歯科関係の科目を標榜している病院は決して多くはなく、歯科衛生士にとってもメジャーな職場とはなっていません。

診療所数推移

あまりイメージがないかもしれませんが、一般の診療所(クリニック)においても一定の数で歯科を標榜しています。

平成20年 23年 26年
歯科 1,594 1,562 1,679
矯正歯科 123 121 114
小児歯科 171 172 181
歯科口腔外科 168 176 185

ほとんどが一般的な歯科に集中しています。

なお、こちらも数が少なく、歯科衛生士にとっては一般的な職場とは言えないでしょう。

標榜診療科と歯科衛生士

科目と歯科衛生士の関係

【標榜診療科をチェックする歯科衛生士は少なくない】

標榜診療科は、歯科衛生士にとっては求人を見る際に気になる情報のひとつです。

しかし、下記のような理由により、標榜診療科だけでは求人が自分に適しているのかどうかの判断ができません。

  • 標榜科は限定的であり、インプラントや審美を希望する歯科衛生士の参考にはならない
  • 必ずしも専門性の高さや患者の多さを保証するものではない
  • 歯科衛生士が該当科目を担当できるかはわからない
  • 数が多いため、あまり選択肢が絞られない

とはいえ、小児歯科を学びたい歯科衛生士にとって、小児歯科を標榜していない歯科医院は選択肢から外すべきでしょう。

そういったことについては標榜診療科を見ることで対応することができます。

より詳細な内容や、標榜だけでは判断できないことについては、求人紹介サービスを利用するなどで判断材料を増やしていくほうがよいかもしれませんね。

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監修者:藤多久仁子

歯科衛生士 (2009年免許取得)

キャリアエージェントとしての勤務経験もあり、歯科衛生士の転職サポート実績も多数。

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