歯科衛生士の求人で労災の対象にならないものとは?

【労災は社会保険の中でも加入率の高い部類だが】

歯科医院にはいわゆる「社会保険完備」ではない歯科衛生士の求人も多く、厚生年金などが適用されていないケースは珍しくありません。

しかし、社会保険完備ではないといっても、社会保険が何も適用されていないというわけではありません。

社会保険の中でも加入率が最も高いものが労災であり、労災の加入率はほぼ100%であるといえます。

ごくまれに、「自分の勤務先歯科医院は労災に加入していないようだ」という歯科衛生士さんもいるようです。

そもそも労災とは何なのか、加入していないケースなどはあるのか、などの歯科衛生士・歯科医院の求人と労災について調べました。

「歯科衛生士の求人にも労災に入れないものがあるって本当?」の目次

労災保険ってどんな制度?
労災が認定される条件とは?
労災のない歯科医院もある?
労災の保険料負担は誰がする?
社会保険完備の歯科衛生士求人を人気エリアから探す
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そもそも労災とは何か

怪我による労災

【労災保険について知っていますか】

労災とは、正確には労働者災害補償保険という制度で、一般的には労災保険、あるいは単に労災と呼ばれています。

労働者災害補償保険法(労災保険法)に基づき、業務中や通勤中に災害にあった場合に労働者又はその遺族に対して給付を行うための公的保険制度です。

雇用保険と合わせて、労働保険と言われ、社会保険の基本的な制度となります。

労災はどんな時に給付されるの?

通勤中の歯科衛生士

【通勤中のケガも労災になる?】

認定のポイント

労災は、労基署が認定することで給付の対象となります。

そのため、最終的には労基署の判断、ということになりますが、下記の3つがポイントになります。

業務遂行性

ケガや病気が、仕事中や通勤中に被ったものであることが必要です。

仕事中かどうかはあまり迷うことがないと思いますが、通勤については

  1. 仕事に関係のある移動であるか
  2. 住居と職場との往復であるか
  3. 経路や移動手段が合理的であるか
  4. 逸脱や中断をしていないか

という点がチェックされます。
具体的にはどのような事例が対象になるのでしょうか?

※あくまで労災の認定は労基署が行うものですので、ご参考程度にご参照ください。
また、ご不明点等は最寄りの労基署にお問い合わせください。

【事例①】訪問歯科の患者宅からの帰宅中の事故

訪問歯科医院に勤める歯科衛生士であった場合、患者宅も職場とみなされるのか、という事例です。

この場合には、あくまで仕事のための移動ですので、他の要件を満たせば労災認定される可能性が高いでしょう。

【事例②】職場からの帰宅途中に買い物をしていた場合

仕事のあとに、職場からまっすぐ帰らずにショッピングなどをしていた際に事故にあったり病気になってしまったりした場合はどうでしょうか。

これは移動を逸脱していたり、合理的な経路でなかったり、そもそも仕事のための移動とみなされなかったり、という理由で認められない可能性が高いでしょう。

業務起因性

また、仕事や通勤がケガや病気の原因であることが必要です。

仕事中に病気になったからといって、なんでも労災に認定できるのかと言えば、それはできないでしょう。

具体的にはどのような事例が対象になるのでしょうか?

※あくまで労災の認定は労基署が行うものですので、ご参考程度にご参照ください。
また、ご不明点等は最寄りの労基署にお問い合わせください。


【事例①】勤務中にトイレに行った際に転んでけがをした

歯科衛生士さんが歯科医院での勤務時間中にトイレに行くことも当然あり得るでしょう。

トイレが上の階にあり、階段から落ちた、床が滑って転んだ、というケースでも、仕事が原因であると言えるのでしょうか。

このような場合においては、トイレに行くことそのものは業務とは言えないでしょうが、生理的な行為ですので、業務に付随する行為であると認められる可能性が高いと言えそうです。

また、階段や床は職場である歯科医院の設備であり、設備の不備によるものとも考えられます。


【事例②】昼休憩中に外に食事に出かけた際に転んでけがをした

一方で、けがをした場所が歯科医院の外であった場合には、業務遂行性が認められないことが多いようです。

どこでけがをしたのか、が一つのポイントであると言えるでしょう。


【事例③】無理な姿勢で仕事をしていたため腰痛持ちになった

歯科衛生士は同じ姿勢や無理な姿勢で仕事をすることが多く、腰痛に悩まされている歯科衛生士も少なくありません。

本人としては「仕事が原因でけがや病気になったので労災認定してほしい」と考えるところでしょうが、慢性的な疲労等によって起こる腰痛が労災となることはあまりないようです。

逆に、同じ腰痛であっても仕事中に機材などに腰をぶつけた、ということが原因であれば業務遂行性が認められ、労災となる可能性が高いと言えます。


労災保険の対象である労働者であること

当然のこととして、対象者が保険対象である労働者である必要があります。

一般的には役員やフリーランスの事業主は労災に加入することができません(一部例外あり)ので、対象とはなりません。

また、まだ入社前の内定者なども保険加入前の段階ですので例えば職場見学中にけがをしたとしても労災の対象とはなりません。

認定するのは職場ではなく労基署

歯科衛生士が労災の申請をする場合、まずは職場の歯科医院に申請することになると思います。

大企業のように労務担当者がいるケースはほとんどないでしょうから、事務長がいる歯科医院であれば事務長、多くの場合には院長に申請、相談することになるでしょう。

その際に「このケースで労災なんて認められないよ」と申請に難色を示されることがあるかもしれません。

もちろん、本当に認められる見込みがないのに院長や事務長の手を煩わせるのはよくないかもしれませんが、あくまで認定をするのは職場ではなく労基署です。

申請を渋る理由は単に面倒なのか、労災を活用したくない理由があるのか、できないと信じているのか、その理由はさまざまですが、本人が望むのであれば申請してもらえるようしっかり交渉するべきでしょう。

労災のない職場もあるの?

労災のない歯科医院

【労災のない歯科医院の求人もある?】

労災保険は、1名でも従業員を雇用する場合には必ず加入が義務付けられている制度ですので、どんな歯科医院であっても従業員である以上は加入することができます。

また、常勤・正職員だけではなく、パート・アルバイトの歯科衛生士であっても加入することができます。

労働時間等が短くても加入できるという点は、他の社会保険とは違った労災ならではの特徴と言えるでしょう。

よって、歯科衛生士の求人票を見ても、まず間違いなく労災は「あり」となっているはずです。

万が一、「うちは労災入っていないよ」という歯科医院の求人があったとしたら、他の条件がよかったとしても少し慎重に考えた方がよいかもしれませんね。

労災の保険料負担は?

保険料負担の心配は不要

【歯科衛生士自身が保険料を負担することはない】

厚生年金などは、歯科医院からの負担があるとはいえ歯科衛生士自身も負担する部分がありますので、加入を望まないという場合もあります。

しかし、労災の保険料については事業者(歯科医院)が全額負担し、労働者(歯科衛生士)が負担することはありません。

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監修者:藤多久仁子

歯科衛生士 (2009年免許取得)

キャリアエージェントとしての勤務経験もあり、歯科衛生士の転職サポート実績も多数。

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