知ってる?離職中・失業中の歯科衛生士に必要な社会保険・税金関係の手続きについて
【離職中でも必要な手続きはたくさん】
女性が多い歯科衛生士は、結婚、家族の転勤による転居、出産、子育てなど、さまざまなライフイベントで離職を余儀なくされてしまうケースもあります。
もちろんそれ以外にも、自身の体調不良であったり、勤めていた歯科医院が閉院してしまったり、留学に行ったりと、さまざまな理由があるでしょう。
どんな理由であっても、いざ職場を離れると、失業保険の取得手続きや、国民健康保険の加入手続きなど、自分でやらなくてはいけないのに、どうしたらよいのかわからなくなりがちな手続きがたくさんあります。
「ファーストナビ」では、離職中、失業中の歯科衛生士さん必見の社会保険、税金関係の必要手続きをまとめました。
離職中・失業中の歯科衛生士に必要な雇用保険の手続きを見る
離職中・失業中の歯科衛生士に必要な健康保険の手続きを見る
離職中・失業中の歯科衛生士に必要な年金・税金の手続きを見る
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【離職後にはさまざまな手続きが必要になる】
離職中・失業中の歯科衛生士に必要な雇用保険の手続き
失業給付(失業保険)を受けるための必要手続き
失業給付(失業保険)を受給するためには、退職後、1日でも早く管轄のハローワークに手続きをしに行くことが大事です。 受給のためにはまず、雇用保険の受給資格者であるかどうかをまず確認する必要があります。
失業給付(失業保険)の受給条件
- 雇用保険の被保険者であること
- 失業状態であること ※1
- 就職前の2年間で、自己都合による退職の場合は原則12か月、会社都合の退職・雇い止め(定年退職など)の場合は原則6か月以上の被保険者期間があること
- 必要とされる賃金支払いの基礎日数がいずれも各月11日以上あること
- 離職票が手元にあること
- ハローワークに求職の申込をしていること
※1【失業状態とは】
「失業状態」といっても、仕事をしていない状態すべてが該当するわけではありません。
「失業状態」とは、
- 働く意思がある
- 働く能力がある
- 再就職しようとしている(必ずしも歯科衛生士としての仕事である必要はありません)
- 結果として就業できていない
という条件をすべて兼ね備えた人が該当します。
そのため、
- 起業や開業の準備をしている人(あまり歯科衛生士さんでは多くないかもしれませんが)
- 病気で働くことができない人
- 出産、介護などの事情があって働くことができない人 などは失業給付(失業保険)の給付対象とはなりません。
ただし、傷病などの場合には、失業給付(失業保険)給付における期間延長を申請し、働くことができる状態になってから受給するということもできます。
失業給付(失業保険)の申請に必要なもの
- 離職票(前職の歯科医院からもらいます)
- 雇用保険被保険者証(前職の歯科医院からもらいます)
- 写真(縦3cm×横2.5cm)
- 身分証明書(住民票の写し、運転免許証など)
- 印鑑
- 預金通帳またはキャッシュカード(本人名義のもの)
自己都合退職の場合と、会社都合退職・雇い止めの場合との違い
給付制限期間
ハローワークで失業給付(失業保険)の申請を行い、申請が受理されると、その日が「受給資格決定日」となります。
会社都合退職や雇い止めの歯科衛生士の場合には、その後7日間の「待機期間」を経て給付となります。
しかし、自己都合で退職した歯科衛生士の場合には、そこからさらに3か月間の「給付制限」という期間が加わります。
会社都合退職や雇い止めによる退職の場合の流れ
会社都合退職や雇い止めによる退職の場合、退職後、
- 前職の歯科医院から離職票を受け取る
- 失業給付(失業保険)の受給申請
- 待機期間満了
- 説明会への出席
- 第1回失業認定日
- 第1回支給
- 第2回失業認定日
- 第2回支給
という流れで支給されます。
自己都合退職による退職の場合の流れ
一方、自己都合による退職の場合には、退職後、
- 前職の歯科医院から離職票を受け取る
- 失業給付(失業保険)の受給申請
- 待機期間満了
- 説明会への出席
- 第1回失業認定日
- 給付制限期間満了
- 第1回支給
- 第2回失業認定日
- 第2回支給
という流れで支給されます。
自己都合退職の場合と、会社都合退職・雇い止めの場合との比較
自己都合退職の場合と、会社都合退職・雇い止めの場合との失業給付(失業保険)の給付までの流れの違いを見てみると、以下のようになります。
【退職理由によって必要手続きや期間が異なる】
基本手当の給付日数
支給される失業給付(失業保険)の基本手当日額は、離職前6か月間の給与の総額をもとに、決まった計算式で算出されます。
賞与(ボーナス)は算出の対象にはなりません。
基本手当給付日額は離職理由などによって決められます。
自己都合、定年退職などの理由により退職した歯科衛生士(一般離職者)
被保険者期間 | 10年未満 | 20年未満 | 20年以上 |
---|---|---|---|
全年齢共通 | 90日 | 120日 | 150日 |
倒産(閉院)、解雇などにより離職を余儀なくされた歯科衛生士
被保険者期間 | 1年未満 | 5年未満 | 10年未満 | 20年未満 | 20年以上 |
---|---|---|---|---|---|
30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | – |
35歳未満 | 90日 | 90日 | 180日 | 210日 | 240日 |
45歳未満 | 90日 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 |
60歳未満 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
65歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
年齢:離職日における年齢を指します。
平成19年10月1日改正(改正法の施行日以降に離職した歯科衛生士に適用されます)
就業促進手当について
失業給付(失業保険)は、就業すると同時に打ち切られます。
しかし、所定の給付日数が3分の1以上、かつ45日以上残っている場合、就業促進手当を受給することができます。
主な就業促進手当は、「再就職手当」と「就業手当」の2つです。
再就職手当とは
1年以上雇用されることが確実な、「安定した職業」に就いた場合に支給される手当です。
ただし、就業した日以前の3年間に、再就職手当などを受給していないなどの条件があります。
就業手当とは
短期アルバイトなど、雇用期間が1年未満の「非常用型の職業」に就いた場合に支給される手当です。
再就職手当、就業手当の支給条件
再就職手当、就業手当はいずれも次の要件をすべて満たした場合に支給されます。
- 離職前の事業主(歯科医院や医療法人)に再び雇用されたものではない
- 7日間の待機期間満了後に再就職、またはハローワークが認めた事業を開始したもの
- 求職申し込み前に、雇い入れることを約束された事業主に雇用されたものではない
- 自己都合退職などで給付制限を受けている場合、待機期間終了後から1か月の間については、ハローワークや職業紹介事業者の紹介により職についたもの
ここでポイントになるのは、最後の条件になっている「ハローワークや職業紹介事業者の紹介により」という部分です。
待機期間終了から1か月の間については、求人広告や知り合いの紹介、歯科医院への直接の問い合わせなどで就業した場合には再就職手当や就業手当は支給されません。
ハローワークか厚生労働省の認可を得た、「職業紹介」の免許を持った会社のサービスを活用しましょう。
もちろん「ファーストナビ」は厚生労働省認可の職業紹介免許を持った会社が運営しているサービスですのでご心配なく。
運営会社:株式会社ファーストコネクト
(厚生労働省 有料職業紹介事業許可番号:01-ユ-300369)
離職中・失業中の歯科衛生士に必要な健康保険の手続き
健康保険の加入における3つの選択肢
一般企業と比較すると歯科医院は健康保険の加入率が低いと言われています。
しかし、それでも多くの歯科衛生士さんは、勤務している歯科医院が手続きする健康保険に加入しています。
失業すれば、当然いままでの保険に加入することができなくなりますので、新しい勤務先の歯科医院が決まり、そこで手続きする健康保険に加入しない限りは自分で健康保険に入りなおす必要があります。
その場合、選択肢は大きく3つに分かれます。
選択肢1:「国民健康保険」に加入する
離職した歯科衛生士さんにとってもっとも一般的な選択肢は「国民健康保険」への加入でしょう。
退職の翌日から14日以内に、健康保険者資格喪失証明書と印鑑を持って、住民票のある市区町村の役所(役場)で手続きを行います。
国民健康保険を選択する場合には、保険料について理解しておく必要があります。
保険料についてはその歯科衛生士さんの住んでいる居住地にもよりますが、前年度の収入をもとに算出されます。
つまり、現在の収入がまったくなかったとしても、その昨年1年間の収入がしっかりあったとすれば、それなりの保険料を納付しなければならなくなります。
選択肢2:「任意継続被保険者制度」を利用する
今まで勤務していた歯科医院が加入している健康保険の「任意継続被保険者制度」を利用するという選択肢もあります。
これは、離職後2年間に限り、今まで加入していた健康保険にそのまま加入していることができる制度です。
退職まで2か月以上健康保険に加入していたことが条件となります。
また、退職の翌日から20日以内に申請の手続きをする必要があります。
保険料については、今まで歯科医院が半額払っていたケースであっても、それもすべて自己負担となります。
単純計算で今までの2倍の支払いを負担することになります。
さらに、注意しなくてはならないのが加入の期間です。
任意継続は2年を超えた場合には国民健康保険に切り替えなくてはなりません。
また、制度を利用した場合には、
- 期限の2年間が経つ
- 国民健康保険に加入する
- 新しい勤務先の健康保険に加入する
のいずれかになるまで脱退することができません。
選択肢3:配偶者、同居家族の「被扶養者」となる
配偶者や同居している家族が加入している健康保険に「被扶養者」として加入する選択肢もあります。
保険料の支払いがないというのが最大のメリットです。
ただし、健康保険によって扶養の条件などが異なりますので、配偶者や同居している家族に、勤務先に相談してもらうようにしましょう。
健康保険手続きの流れ
健康保険の手続きの流れをまとめると、このような図になります。
【自分に当てはまるのはどのパターン?】
保険料がポイント
国民健康保険の保険料は、居住地や前年度の収入によって決まります。
任意継続被保険者を選んだ場合は、在職時の2倍の負担になるということを考慮する必要があります。
それらを踏まえて国民健康保険と任意継続被保険者との保険料を比較しましょう。
失業時の健康保険の選択
国民健康保険 | 任意継続被保険者制度 | |
---|---|---|
医療自己負担 | 3割 | 3割 |
保険料 | 居住地と前年の収入による | 在職時に自分で負担していた保険料の2倍 |
保険料の上限 | あり | あり |
加入条件 | 誰でも可能(ただし世帯単位) | 退職日までに2か月以上健康保険に加入していたこと |
手続き期限 | 退職日翌日から14日以内 | 退職日翌日から20日以内 |
手続き場所 | 居住地の市区町村役所・役場 | 居住地の社会保険事務所か加入していた健康保険組合 |
手続き書類 | 健康保険被保険者証/資格喪失届/印鑑/身分証明書 | 健康保険任意継続被保険者資格取得申請書/被扶養者届/住民票/印鑑 |
利用期限 | なし | 2年間 |
離職中・失業中の歯科衛生士に必要な年金・税金の手続き
年金について
国民年金への加入
離職したら、「国民年金」に入らなければなりません。
国民年金は加入が義務付けられており、加入の義務については仕事をしているかどうかには関わりません。
なお、退職時に新たな就業先が決まっていない歯科衛生士さんは、すべて自分で手続きをしなくてはなりません。
自分がどの年金に加入していたのかを確認し、手続きをする場所、必要書類などを調べて、離職後速やかに手続きをする必要があります。
特に正職員として勤務していた歯科衛生士さんが無職になる場合には、年金の種別が「第2号被保険者」から「第1号被保険者」に変わりますので、その手続きを退職後14日以内に行わなくてはいけません。
手続きには年金手帳と印鑑が必要になります。
準備の上、住民票のある市区町村の役所・役場に行って手続きを行いましょう。
年金の種類と保険料
国民年金 | 厚生年金 | 共済組合 | |
---|---|---|---|
加入対象 | 自営業者/学生/無職など(第1号被保険者) | 会社員など(第2号被保険者) | 公務員/私立学校教職員など(第2号被保険者) |
保険料 | 15,590円(定額) | 月額報酬に応じる | 共済組合による |
※国民年金の保険料は平成27年4月現在のものです
税金について
歯科医院に勤めている間は給与から天引きされていた「所得税」や「住民税」も、離職した場合には自分で収め、確定申告の手続きをしなくてはなりません。
所得税について
歯科医院に勤めている歯科衛生士の場合、勤務先の歯科医院がその歯科衛生士さんの給料をもとに所得税を概算し、給与から天引きしているのが一般的です。
この制度を源泉徴収制度と呼びます。
この金額はあくまで概算ですので、その年の最後に正確な収入額をもとに所得税を再度計算し、所得税を納めすぎていた場合にはその差額が本人に還付されます。
この手続きが「年末調整」です。
退職したとしても、年内に別の歯科医院等に再就職していれば、新しい勤務先で年末調整の手続きをしてもらうことができます。
しかし、年内に再就職しなかった場合には年末調整をしてもらうことができませんので、自身で「確定申告」をすることになります。
多くの場合、確定申告を行うことで収めすぎた税金が一部戻ってきます。
確定申告の期間は翌年の2月16日~3月15日となっています。
ただし、還付だけの申請であれば翌年の1月以降随時受付をしてもらうことができます。
住民税について
所得税は先払いしてから、年末に納税額を調整するシステムですが、住民税は逆に後払いのシステムで納税します。
個人で支払う場合には6月~翌1月の4回払い、給与天引きの場合には特例で6月~翌5月までの12回払いとなります。
1年間の収入に対してかかる住民税を、翌年の6月から支払うということになります。
仮に今、仕事をしていなくて収入がないとしても、前の年に仕事をしていた場合には未納分の支払いをしなくてはなりません。
正職員からパートタイムに働き方を変えたり、大きく収入が下がる転職をした場合なども、住民税の負担が今の収入の割に重たくなりますので要注意です。
予め、住民税の支払分を確保しておくなどの対策をしましょう。
退職後の住民税未納分の支払い方法は
- 退職までに会社に一括で支払う
- 後から納税通知書をもらって金融機関などで支払う
という2つの方法があります。
ただし、退職する時期が1月~5月の場合には、会社に一括で支払う方法しかできませんので注意が必要です。
税金の手続きについて
所得税の手続きについて
年内に再就職する | 年内に再就職しない |
---|---|
再就職先で年末調整を行う | 税務署で自身で確定申告を行う |
住民税の手続きについて
1月~5月に退職 | 6月~12月に退職 |
---|---|
会社に一括で5月分までの残額を退職までに支払う | 会社に一括で5月分までの残額を退職までに支払うか、納税通知書によって分割で支払うかを選択 |
税金関連の主な必要手続き
内容 | 場所 | 時期 |
---|---|---|
源泉徴収票の受け取り | 歯科医院の担当 | 退職日当日 |
住民税の支払いについての確認 | 歯科医院の担当 | 退職日まで |
確定申告 | 居住地を管轄する税務署 | 退職翌年の2月16日~3月15日 |
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