2016年02月3日

小児歯科における時期別の特徴(しょうにしかにおけるじきべつのとくちょう)について

小児の時期の分け方について

小児の時期は、一般的には

  • 新生児期(生後4週間)
  • 乳児期(1歳までの期間)
  • 幼児期(6歳までの期間)
  • 学童期(12歳までの期間)

に分けられます。
また、第二次性徴が明確な時期を思春期、思春期から20歳ごろまでの期間を青年期と呼びます。

小児の時期の分け方の根拠

医学的に小児科で扱う「小児」は15歳未満です。
この年齢は、児童福祉法における児童の年齢的な定義と同じです。

また、社会的には、少年法においては20歳未満を少年と定義しており、労働基準法では15歳未満を労働者として雇用することを禁じています。
民法では、男子は18歳未満、女子は16歳未満において婚姻が禁止されており、「小児」あるいはそれに近い言葉においては、さまざまな根拠でさまざまな分類がされています。

小児歯科における時期別の分類

小児歯科における「小児」は、永久歯の萌出が完了するまでの期間を指します。
年齢ではっきりと分けることはしませんが、乳児から概ね中学校卒業くらいの年齢までの間となります。

小児期の分類と歯科的な問題点

発達区分 年齢 歯科的な問題点
新生児期 出生から4週間 口唇裂、口蓋裂、先天歯、新生歯、上皮真珠
乳児期 満1歳まで 萌出性嚢胞
幼児期 1歳~6歳
(幼児期前期) 1歳~3歳 乳歯萌出異常、哺乳う蝕、乳歯外傷
(幼児期後期) 3歳~6歳 乳歯う蝕、機能性不正咬合
学童期 6歳~12歳 永久歯萌出異常、若年性歯周炎、永久歯不正咬合、萌出性歯肉炎
思春期(男子) 12歳~15歳 不潔性歯肉炎、若年性歯周炎、永久歯不正咬合
思春期(女子) 10歳~13歳 思春期性歯肉炎、若年性歯周炎、永久歯不正咬合

口唇裂(こうしんれつ)

口唇の形成異常の一種で、上顎突起と球状突起の癒合不全によっておこります。
哺乳障がいや、審美的な問題から一般的に縫合手術が行われます。
唇裂とも呼ばれます。

口蓋裂(こうがいれつ)

唇顎口蓋裂(しんがくこうがいれつ)について

先天歯(せんてんし)

出生時にすでに萌出している歯、または生後1か月以内の新生児期に萌出する早期萌出歯を指します。
正常乳歯の早期生歯である場合と、過剰歯である場合とがあります。
下顎切歯に多く、授乳困難やリガ・フェーデ病(舌下部にできる潰瘍)を引き起こすことがあります。
先天性歯とも呼ばれます。

リガ・フェーデ(Riga-Fade)病(りが・ふぇーで病)

下顎中切歯の先天歯の鋭利な切縁が舌に触れる刺激によって、乳児の舌小帯を中心にした舌下部付近に起こる褥瘡性の潰瘍のことです。
リガ・フェーデ病は哺乳障がいの原因となることがあります。

新生歯(しんせいし)

生後30日以内の新生児期に萌出する先天歯の一種です。

上皮真珠(じょうひしんじゅ)

光沢のある白い球状の石灰沈着物様の腫瘤です。
乳前歯萌出前の乳歯の歯槽堤の歯肉部に発現します。
本来は歯胚の発育過程中に生理的に退縮すべき歯堤を形成する上皮細胞が一部残存し、同心性に集まり角質化し、歯肉に結節として現れたものです。

歯槽堤(しそうてい)

歯槽骨が形成する突起部のことです。
顎堤とも言われます。

歯槽骨(しそうこつ)

歯を支持する顎骨の突起部のことです。
骨髄、骨膜、骨組織によって厚生され、固有歯槽骨と支持歯槽骨とに分かれます。
生理的に吸収、新生による改造現象がみられます。

萌出性嚢胞(ほうしゅつせいのうほう)

歯の萌出時に現れる嚢胞のことです。
嚢胞とは、顎骨とその周辺軟組織に、上皮細胞により内側を裏装された線維性結合組織、あるいはそれを形成する疾患を指します。
嚢胞の内部は、漿液(しょうえき)または粘液などの内用液によって構成されます。
口腔領域における嚢胞は、菌原性の嚢胞と非菌原性の嚢胞とに分類されます。

乳歯う蝕(にゅうしうしょく)

乳歯のう蝕(にゅうしのうしょく)について

機能性不正咬合(きのうせいふせいこうごう)

不正咬合(ふせいこうごう)について

萌出性歯肉炎(ほうしゅつせいしにくえん)

歯の萌出時に発現する歯肉炎で、歯冠の周縁にそって明瞭な赤色線状に発赤を示す歯肉炎です。
萌出性歯肉炎は自覚症状が少ないことが多く、歯の萌出が進むに従い、症状が軽くなり治癒することが多いという特徴があります。

若年性歯周炎(じゃくねんせいししゅうえん)

思春期以降の若年者におこる疾患で、急激に歯槽骨の吸収と破壊が行われるという特徴があります。
グラム陰性気性桿菌が原因菌であると考えられています。

グラム陰性(ぐらむいんせい)

グラム染色(ぐらむせんしょく)について

桿菌(かんきん)

杆菌(読み仮名は同じく[かんきん])とも書かれます。
個々の細胞の形状が細長い棒状または円筒状である細菌の総称です。球菌、らせん菌と併せて、微生物を形態によって分類するときに用いられる慣用的な分類群のひとつです。 球菌、らせん菌と同じく細菌の形からその名前がつけられています。

思春期性歯肉炎(ししゅんきせいしにくえん)

思春期は歯科としては、第二大臼歯の萌出が完了する時期ですが、第二性徴が見られる時期でもあります。
思春期に見られる歯肉炎(思春期性歯肉炎)は、内分泌異常、とくに性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンの乱れによって生じる肥大性歯肉炎です。
また、局所の因子も大きく影響していると言われています。

歯間乳頭、辺縁歯肉の肥大を伴う炎症という症状があらわれます。

歯肉乳頭(しかんにゅうとう)

隣接歯との歯間空間を埋めている歯肉のことで、歯冠歯肉とも言われます。
前歯部では歯間乳頭はピラミッド型をしており、臼歯部ではコル型(鞍状)をしています。
なお、コル型の歯肉乳頭は角化しておらず、傷つきやすい歯肉です。

辺縁歯肉(へんえんしにく)

歯頸部を輪状に囲っている歯肉で、歯冠部に隣接しています。
直接歯や歯槽骨に付着していない幅1ミリメートル前後の部分であり、遊離歯肉とも呼ばれます。
辺縁歯肉溝という辺縁歯肉と付着歯肉を隔てる溝によって、付着歯肉と区分されています。

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