2015年12月11日

唇顎口蓋裂[しんがくこうがいれつ]について

唇顎口蓋裂とは

口腔顔面部の裂奇形の一種で、日本人の約500人に1人の割合で発生する先天的な疾患です。
破裂が上口唇から歯槽突起、口蓋を経て口蓋垂尖端まで及ぶものなど、さまざまです。
唇顎口蓋裂児は、外見の異常のみならず、発音、咀嚼、嚥下の機能障がいなど、さまざまな問題が生じます。
治療には形成外科的手術を要します。

唇顎口蓋裂によっておこる問題

審美障がい

審美性の回復を行うために、生後2~4か月ごろに口唇形成術、1歳6か月~2歳ごろに口蓋形成術を行います。
鼻の変形が残存する場合には、6歳以降に鼻翼修正術を行うことで審美性の回復をはかります。

哺乳障がい

唇顎口蓋裂児は顎に裂があるため、鼻咽腔閉鎖がうまくできず、十分な哺乳ができない場合があります。
そのため、口蓋(閉鎖)床を装着して裂部を閉鎖し、哺乳を助ける必要があります。
出生後、できるだけ早い段階で使用を開始することが望ましく、床の使用は上顎の形態を整えるだけではなく、口腔機能の発達を助けるという効果も期待できます。

言語障がい

鼻咽腔閉鎖不全や口蓋残遺孔などにより、構音に問題が生じる場合があります。
幼児期における訓練が特に重要となります。

歯列不全

裂の存在による直接的な影響だけではなく、さらに上顎の発達障がいによって歯列不全が生じる場合があります。

耳鼻科疾患

口腔、鼻腔の閉鎖が不完全となるために、中耳炎などの耳鼻科疾患が多く見られます。

う蝕リスクが高い

唇顎口蓋裂児はう蝕が多い傾向にあり、その原因は直接的なものと間接的なものがあります。
【う蝕になりやすい直接的な原因】

  • 裂周辺の歯には形成不全のものが多い
  • 歯列不全により自浄性が悪くなり、さらにブラッシングも十分に行えない
  • 口蓋床や矯正装置の装着により口腔衛生が不良になりやすい

【う蝕になりやすい関節的な原因】

  • 幼児期から形成手術を受ける等の経験により、医師や歯科医師に恐怖を感じやすく、指導が難しい
  • 保護者の関心が裂のみに向かいやすく、甘味嗜好などになりやすい傾向がある

また、唇顎口蓋裂児はう蝕になりやすいだけではなく、歯列不全によりう蝕の修復処置が困難なケースも多くなります。
う蝕によって乳歯が早期に喪失した場合、歯槽骨の成長に影響がでます。
さらに口蓋床や矯正装置の支台歯がなくなってしまうと多くの問題が出てしまいます。
そのため、口腔保健管理が非常に重要となります。

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