2015年12月11日

乳歯咬合完成期(乳歯列期)[にゅうしこうごうかんせいき(にゅうしれっき)]について

乳歯咬合完成期(乳歯列期)とは

歯の咬合発育段階を示す、「ヘルマン(Hellman)の咬合発育段階」のひとつで、記号ではⅡAと記されます。
※「ヘルマン(Hellman)の咬合発育段階」は「ヘルマン(Hellman)の歯齢(dental age)」とも呼ばれます。
すべての乳歯の萌出が完了する3歳ごろから、下顎第一大臼歯あるいは下顎中切歯の萌出が始まる6歳ごろまでの時期を指します。
小児歯科の咬合発育段階としては乳歯咬合完成前期(乳歯萌出期、乳歯萌出開始期)の次の時期であり、乳歯咬合完成期がすぎますと、次は第一大臼歯・前歯萌出期(混合歯列前期)へと移ります。

乳歯咬合完成期(乳歯列期)の特徴

乳歯咬合完成前期の前の段階である乳歯咬合完成前期には歯列弓(前歯の先端から奥歯、臼歯にかけての弓の形をした曲線ラインのこと)の直径、及び幅径が顕著に大きくなるのですが、特に3歳から5歳くらいまでの間は歯列弓に大きな変化はなく、歯列、咬合ともに安定しやすく、乳歯咬合完成期は比較的不正咬合(上下の歯列の形や大きさの異常によって、歯のかみ合わせが正常ではない状態。矯正歯科治療などを行うこともある。)などが少ない時期であると言えます。
なお、乳歯咬合完成期から第一大臼歯・前歯萌出期(混合歯列前期)にかけて、歯間空隙(歯の間の隙間)が一般的にみられます。

乳前歯部の被蓋(咬んだ時に上の歯が下の歯を覆っている状態)は永久歯に比べて浅く、切端咬合(上下の前歯の先端同士で咬み合っている状態)がみられることもあります。
乳歯列弓はさまざまな形態を呈することはなく、上顎は半円形、下顎は半円形または半楕円形の形態となります。
また、乳歯の歯軸関係(歯の傾き)は永久歯に比べ垂直的で、上下顎乳切歯のなす歯軸角(歯の傾きの角度)は永久歯の歯軸角に比べて大きくなります。
顎乳臼歯の植立状態は近遠心的には咬合平面に対して垂直に近い状態ですが、永久歯には近心傾斜がみられます。
ですから、第一大臼歯萌出後に乳臼歯が早期喪失してしまった場合には第一大臼歯の近心移動がおきます。

乳歯咬合完成期(乳歯列期)における注意点

乳歯咬合完成期は乳歯咬合を維持し、顎の関係を正常に保ち、正しい位置に第一大臼歯を導くことが大事になってきます。
ですから、う蝕の処置や保隙処置(歯の位置関係を正しく保つ処置)、反対咬合(上の歯よりも下の歯が外側に出ている状態。前歯に起こることの多い不正咬合のひとつ。下顎前突、いわゆる受け口。)の処置などを正しく行う必要があります。

また、乳歯咬合完成期になると子供の行動、活動範囲が大きく広がっていきます。
例えば保育園にあずけたり、祖父母にあずけたりすることも多くなってきやすく、母親などの保護者だけの管理でう蝕を予防することが難しくなってきます。
ただし、乳歯咬合完成前期にはなかなかできにくかった、歯科医師や歯科衛生士などの歯科医療従事者との直接的なコミュニケーションが可能になってきますので、う蝕の治療等をスムーズに行うこともできるようになっていきます。

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