2015年12月11日

乳歯[にゅうし]について

乳歯とは

ヒトは歯が2回萌出しますが、最初の方に生える歯のことで子供のときに生える歯を乳歯と呼びます。
上下顎の左右にそれぞれ5本ずつ、通常は全部で20本生えます。
前から乳中切歯、乳側切歯、乳犬歯、第一乳臼歯、第二乳臼歯という順番に並んでおり、前から順にA、B、C、D、Eとの略称で呼ばれます。

乳歯の発生

乳歯の発生は胎生6週ごろに歯堤(歯の原基となる部分)が作られることから始まります。
続いて、歯堤に歯胚が生じ、歯胚の成長によって乳歯が形作られていきます。

歯胚の形成

歯胚とは、歯と歯周組織をつくる原基です。エナメル器、歯乳頭、歯小嚢の総称として使われます。
歯胚は発生の過程で形態が変化します。
上皮部分の組織分化の程度と形態分化の程度により、それぞれの時期を蕾状期、帽状期、鐘状期に分けます。
歯胚は下記の順で形成されていきます。

蕾状期
胎生6週ごろ、上皮と間葉組織(個体発生のごく初期に生じる非上皮性組織)の相互誘導により、将来歯が形成される部分の口腔粘膜上皮が深部の間葉の結合組織の方に帯状に増殖肥厚し、歯堤を形成します。
さらに胎生8~9週ごろになると、口腔粘膜上皮が肥厚した部分の間葉組織も増殖し始めます。
その後、歯堤から蕾状の膨らみが出現し、これが歯や歯周組織の原基となって歯胚が形成されます。

帽状期
胎生9~10週ごろになると、増殖した口腔上皮が帽子状のエナメル器となります。
そして間葉組織は歯乳頭と歯小嚢に分かれます。
このエナメル器、歯乳頭、歯小嚢の総称を歯胚と呼びます。

鐘状期
胎生14週になると、エナメル器が外エナメル上皮と内エナメル上皮に分かれます。
外エナメル上皮は歯胚の外側を覆い、内エナメル上皮は歯乳頭側を覆います。
外エナメル上皮と内エナメル上皮の間はエナメル髄と呼ばれる部分になり、突起状の細胞が網状に見られるようになります。
外エナメル上皮と内エナメル上皮が接している部分は少しだけ歯乳頭の方へ入り組んだ形状になります。
ここの二層の細胞が並ぶ部分を上皮隔膜と呼びます。

歯胚の形成

乳歯の特徴

乳歯の形態的な特徴

乳歯は乳前歯(乳中切歯、乳側切歯、乳犬歯)12本と乳臼歯(第一乳臼歯、第二乳臼歯)8本の20本です。
乳前歯は形は後継永久歯(乳歯の後に生え変わる歯、代生歯)と似ていますが、大きさは後継永久歯よりも明らかに小さいものです。
一方、乳臼歯は後継永久歯と同じ形状とはなっておらず、第二乳臼歯は後継永久歯の第二小臼歯よりも第一大臼歯に似た形状です。
また、第二乳臼歯は乳歯で唯一、後継永久歯(第二小臼歯)よりも歯冠遠心幅径が大きいという特徴があります。

乳歯の組織学的な特徴

  • 乳歯のエナメル質の厚さは永久歯の約半分
  • 乳歯の象牙質の厚さは永久歯の約半分
  • 乳歯のセメント質の厚さは永久歯に比べて薄い という特徴があります。

乳歯の物理化学的な特徴

乳歯は永久歯と比較すると有機質が多く、結晶のサイズが小さいという特徴があります。
その結果、乳歯の硬度は永久歯よりも低く(柔らかく)、乳歯はう蝕になりやすく、また進行も早くなってしまいます。

乳歯の特徴

乳歯の組織学的な特徴

乳歯の歯髄(歯の内部(歯髄腔)において存在する疎線維性結合組織のことで、いわゆる「歯の神経」と呼ばれるものです。)における組織学的な構造や成分、組成は、永久歯のそれと基本的に同じものです。
しかし、後続永久歯との交換のための乳歯歯根(歯の下部の歯槽骨の中に入っている部分)の生理的吸収が始まると、固有細胞の消失などの変化が歯髄組織においてみられるようになります。

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