2015年12月11日

不正咬合[ふせいこうごう]について

不正咬合とは

不正咬合とは、顎や歯などがなんらかの理由で形態、発育、機能の異常をきたし、その結果正常な咬合ができなくなっている状態(上下の歯が適切に咬み合っていない状態)を指します。

不正咬合の種類

不正咬合には、下記のようなものがあります。

【上顎前突】
いわゆる出っ歯です。上の前歯が下の前歯よりも前方に出ている状態です。

【反対咬合(下顎前突)】
いわゆる受け口です。下の前歯が上の前歯よりも前方に出ている状態です。

【開咬】
口唇を閉じようとしても前歯が開いてしまっている状態です。

【空隙歯列】
いわゆるすきっ歯です。歯と歯の間に隙間があいてしまっている状態です。

【叢生】
乱杭歯ともいわれます。歯が重なって生えてしまっている状態です。

【下の前歯の重複萌出】
下の前歯(乳歯)がうまく抜けずに、そのまま後ろから永久歯が生えてきてしまっている状態です。

【側方交叉咬合】
上下のあごのかみ合わせが横にずれてしまっている状態です。

【過蓋咬合】
かみ合わせが深すぎる状態です。上の歯と下の歯がうまくあたらないようになってしまいます。

【前歯の交叉咬合】
前歯が逆になってしまっている状態です。すべての歯ではなく、1,2本に起こることもあります。
下顎が左右にずれたり、歯や顎を痛める原因になります。

【萌出異常】
永久歯が正しい位置に生えてきていない状態です。乳歯のう蝕や欠落が原因になることがあります。

【永久歯の叢生、位置異常】
生えてきた永久歯が重なっていたり、正しくない位置に生えてしまっている状態です。

不正咬合の原因

機能性不正咬合

口を閉じようとした際に、すべての歯で噛むことができずに、上下の歯のどれかが先に接触してしまうことがあります(早期接触)。
こうなってしまうと、そのまま物をかむことが難しいので、下顎を前方に突き出したり、側方にゆがめてかもうとすることがあります。
このような、「かむ」という機能のために起こってしまう不正咬合を「機能性不正咬合」と言います。

乳切歯(前歯)で早期接触が起こると前歯部交叉咬合、乳犬歯や乳臼歯で早期接触が起こると臼歯部交叉咬合 となります。
臼歯部交叉咬合が長い期間継続すると、骨格性の臼歯部交叉咬合になることもあります。

骨格性不正咬合

上下顎骨の大きさの異常や、上下顎骨の位置の不調和など、骨格自体の不調和によりおこる不正咬合を「骨格性不正咬合」と言います。
遺伝によるものが多いと言われていますが、機能性不正咬合が長く続いた結果、骨格性不正咬合に変わってしまうこともあります。

口腔習癖による不正咬合

指しゃぶりなどの口腔習癖が長い期間継続すると、歯列や口唇、頬筋、舌の筋力などのバランスが崩れ、不正咬合を引き起こすことがあります。

歯性不正咬合

上下顎骨の大きさや位置関係に大きな異常があるわけではなく、歯の配列そのものに起因する不正咬合を「歯性不正咬合」と言います。
乳歯のう蝕による歯冠崩壊や早期喪失は歯冠近遠心幅径を短縮させます。
特に乳臼歯部では、リーウェイスペース(乳歯側方歯(乳犬歯、第一乳犬歯、第二乳犬歯)の歯冠近遠心幅径の総和と永久歯側方歯(犬歯、第一小臼歯、第二大臼歯)の歯冠近遠心幅径の総和との差)の喪失による側方歯群の萌出方向の異常を引き起こすことがあります。

永久歯の歯胚の位置や歯軸方向に異常がある場合、永久歯の転移や埋伏などが生じることがあります。
特に第一大臼歯においては、異所萌出(正常な位置から離れたところで歯が萌出したり、発育したりすること)があると、第二乳臼歯の遠心根吸収がおこることがあり、その結果、早期脱落、低位(引っかかり)、永久歯列への影響などの原因となる不正咬合になります。

第一大臼歯の異所萌出に対しては、

  • 結紮法:真鍮線を隣接面に入れ、締める。歯間離開用の顎間ゴム(エラスティック)を挿入します。
  • 削除法:第二乳臼歯の遠心面をトリミング(不要な部分を削る)します。
  • バンド法:第二乳臼歯にバンド及びスプリングを装着します。
  • 抜歯及びリテーナー(矯正装置で動かした歯を安定させるための装置):第二乳臼歯を抜歯し、その後スペースリテーナーを装着して遠心誘導します。

などの治療法があります。

永久歯の歯冠幅径が顎の大きさに比べて大きすぎる不調和(ディスクレパンシー)があると、その永久歯は叢生となります。
また、

  • 過剰歯:歯種によって決まっている数以上に存在している歯で、上顎の正中にできる正中過剰歯が一般的です。女性よりも男性に多いと言われています。
  • 歯牙腫:エナメル質、象牙質、セメント質などの歯を構成する硬組織を主体とする歯原性腫瘍(良性腫瘍)の一種。硬組織の過剰増殖によりできると言われています。10歳台でできるものが一般的です。
  • 嚢胞:軟組織内にできる、液状の内容物が入った球状の嚢状物(袋状のもの)。多くの場合、上皮によって内側がおおわれています。

などがみられる場合には、永久歯の正常な萌出を妨げ、歯列、咬合などの発育異常の原因となる場合があります。

乳歯列における不正咬合

乳歯列においては不正咬合が比較的少ないと言われています。
その代表的な理由としては、

  • 頭蓋、顎の発達が非常に旺盛でなため、乳歯の萌出する空間に比較的余裕が出やすい
  • 口腔筋も活発に発育し、頭蓋の成長や顎の位置的変化に適応して発育できる
  • 乳歯の歯軸と咬合力の方向が咬合平面に対してほぼ垂直な方向になっている -歯の近心方向への移動、捻転、傾斜などが起こりにくい
    ということがあげられます。

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