男性歯科衛生士ってどれくらいいるの?

男性歯科衛生士についてまとめ

歯科衛生士といえば「女性の資格」、「女性の仕事」というイメージを持っている方が多いのではないでしょうか。
同じ歯科衛生士でも、男性の歯科衛生士に会ったことがないという方もたくさんいるでしょう。
男性歯科衛生士の現状はどうなっているのか、「ファーストナビ」が調べました。

「男性歯科衛生士ってどれくらいいるの?」の目次

歯科衛生士に男性が少ない理由
男性歯科衛生士の人数は?
男性が歯科衛生士になるメリット
男性が歯科衛生士になるデメリット
男性OKの歯科衛生士求人は少ない?
海外では男性歯科衛生士が活躍
他職種における男性従事者事情
歯科衛生士法の歴史について
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そもそも男性の歯科衛生士が少ないのは何故?

実は、歯科衛生士という資格はほんの数年前までは女性しか取れない資格でした。
歯科衛生士の資格取得や業務内容などについて定めた「歯科衛生士法」という法律の中に

第二条 この法律において「歯科衛生士」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、歯科医師(歯科医業をなすことのできる医師を含む。以下同じ。)の指導の下に、歯牙及び口腔の疾患の予防処置として次に掲げる行為を行うことを業とする者をいう。

という記載があるのですが、以前はこの最後の部分の”業とする者”が”業とする女子”という文言になっており、歯科衛生士は文字通り、女性の仕事だったのです。
これに、

現行は、2 第二条に規定する業務を行う男子については、この法律の規定を準用する。

という附則が加わり、男性でも歯科衛生士の資格取得、就業が可能になりました。
さらに、上記の法改正が行われました。

現在では、男性歯科衛生士はどれくらいいるの?

数少ない男性歯科衛生士

【同性の歯科衛生士と出会うこともあまりない】

日本で初めて男性の歯科衛生士が登場したのは、2012年だそうです。
2012年6月時点での男性歯科衛生士人数は43人でした。
徐々にですが男性歯科衛生士は増加傾向にあると言われています。

男性歯科衛生士の増加については、大学に歯科衛生士養成課程が新設されたことも影響しているとの意見もあります。
とはいえ女性の歯科衛生士は10万人以上いますので、まだまだ男性歯科衛生士は本当に希少な存在と言えます。

男性歯科衛生士のメリットは?

力持ちの男性歯科衛生士

【力のある男性歯科衛生士は重宝されることも】

歯科医院では男手が足りていない

歯科衛生士さんであればご存じでしょうが、一般的に歯科医院は女性の職場です。
男性は院長のみ、という歯科医院も多く、ほとんどの歯科医院にはあまり男性職員がいません。

歯科医院には、機材、薬剤、消耗品など意外と重いものも多く、力仕事もある職場です。
そういった場合にはやはり男手が欲しいところですが、

  • 院長含め男性職員がいない
  • 院長は男性だが高齢で力仕事はできない
  • 院長含め男性職員は全員歯科医師であり、雑務はやってくれない

などの理由で、多くの場合には女性の歯科衛生士、歯科助手、受付などが力仕事をこなしています。
そういった意味で男性歯科衛生士が重宝される場面はありそうです。

女性よりも男性に担当してもらいたい患者もいる

実は、さまざまなサービスにおいて、「男性を指名する」という利用者さんは意外と多くいます。
美容院やマッサージなどは特に多く、介護や医療、看護においても男性の指名は少なくありません。

男性の利用者、患者に多いと思われますが、「女性とのコミュニケーションが苦手」、「女性に身体の事を話したり見られたりするのが恥ずかしい」という理由が多いようです。
歯科医療に関しても、一定比率で男性の歯科医師、歯科衛生士に担当してもらうことを希望する患者さんがいることは間違いないと思われます。

結婚や出産による退職が少ない

もちろん、各家庭の考え方はそれぞれですが、やはり一般的には女性は結婚、出産、家族の転勤、介護などのライフイベントによって離職してしまうケースが男性よりも多くおこりがちです。
また、離職しないとしても、産休、育休で離脱せざるをえなかったり、子育てとの両立のために勤務時間を短くせざるをえないケースもあります。

相対的に女性よりも、ライフイベントによる離職の可能性が低い男性歯科衛生士さんは、こういった理由での離職に悩む歯科医院にとってはありがたい存在と言えるかもしれません。

男性歯科衛生士のデメリットは?

男性に触られたくない女性患者

【男性歯科衛生士に抵抗がある女性患者も】

男性に担当してもうことに抵抗のある患者もいる

「女性よりも男性に担当してもらいたい患者もいる」というメリットの逆パターンですが、女性に担当してもらいたいという患者さんは少なからずいるものと思われます。
むしろ、男性歯科衛生士に好意的な(男性)患者よりも、男性歯科衛生士に抵抗のある(女性)患者の方が多いと考えられます。

特に口腔内はデリケートですし、あまり人に見せる機会が多いところではありませんので、意外と男性歯科衛生士には逆風があるのかもしれません。
また、抵抗を強くもっていなくても、歯科衛生士=女性、という固定概念がある人が多いので、驚かれることは多そうです。

収入面の問題で離職、他業種への転職の可能性がある

歯科衛生士は、保育士や医療事務、ショップ店員などの、女性の多い職種と比較して収入が見劣りする仕事ではありませんが、男性の平均年収と比較して、待遇の良い仕事とは言えません。
結婚し、家族を養うというイメージである場合、心もとないと感じる方もいるのではないでしょうか。

定期的な昇給や賞与、歩合給や諸手当などが充実している歯科医院であれば、腰を据えて長期勤務することもできるでしょうが、給与が低めだったり、将来的な収入アップが見込めない歯科医院である場合、男性歯科衛生士が他の職種も含めて転職を検討してしまう可能性は否定できません。

男性歯科衛生士の求人はあるの?

実際のところ、「男性OK」という歯科衛生士求人も、「男性NG」という歯科衛生士求人もほぼありません。
男性歯科衛生士はまだあまりにも人数が少なく、歯科医院側としては、男性歯科衛生士が応募してくる、ということを前提には募集求人を考えていないのが現状です。

応募があればそこで初めて考える、というのが本音だと思いますが、どれくらいの歯科医院が男性歯科衛生士の応募を受け入れてくれるものなのか、まだ未知数と言えそうです。

海外での男性歯科衛生士事情は?

男性歯科衛生士イメージ

【海外では男性歯科衛生士は珍しくない】

アメリカでは歯科衛生士=女性というイメージはなく、男性歯科衛生士はごく普通にいると言われています。
歯科衛生士の社会的、医療的な地位が日本よりも高く、対応できる業務、医療行為も多いため、同列に比べるべきではないのかもしれません。

また、待遇、収入も高く、独立開業もできる職種だそうですので、そういった点もアメリカでは男性歯科衛生士にとっての魅力と言えそうです。
なお、アメリカで初の男性歯科衛生士が誕生したのは1972年だそうです。

他の職種、資格でも似たような状況があるの?

代表的なものとしては、看護師、保健師があげられます。
看護師は以前は看護婦という名称で、女性しかなることはできませんでした。
同様に保健師も保健婦、という女性のみがなることのできる職種でした。

これらは、2002年に法改正がなされ、資格の名称とともに男性への門戸が開かれました。
いまでは、多くの男性看護師さんが活躍しています。
特に介護施設や精神科の病院などでは、男性の方が嬉しい、と言われることがあったり、男性看護師が病院内で管理職として活躍しているケースも少なくありません。

なお、助産師については引き続き女性のみが取得できる資格となっています。
これにはいろいろな意見があると思われますが、産婦さんの男性に対する抵抗感が他の職種とは段違いに大きいということが実情なのではないでしょうか。

「男性歯科衛生士」以外についての歯科衛生士法の改正沿革

沿革イメージ

【男性歯科衛生士に関する法律の動き】

1947年

戦後、アメリカなどの連合軍の要請による国内の公衆衛生の改善の一環として、歯科衛生業務が保健所に取り入れられました。
この時期はまだ歯科、特に虫歯予防に関する知識や習慣が一般に広まっておらず、歯科衛生士の業務としては、虫歯にならないように予防歯科の知識を啓もうしたりすることが多かったようです。
なお、1947年時点では歯科衛生士法はまだ制定されておらず、歯科衛生士や歯科衛生業務についての根拠法は「保健所法」でした。

1948年

正式に歯科衛生士法が制定され、歯科衛生士や歯科衛生業務についての根拠法は保健所法から歯科衛生士法に移りました。

1955年

歯科衛生士の業務内容に「歯科治療に関する補助業務」が追加され、業務の幅が広がりました。

1989年

歯科衛生士の業務内容に「歯科保健指導」が追加され、業務の幅が広がりました。

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監修者:藤多久仁子

歯科衛生士 (2009年免許取得)

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